ベルギーからドイツに転勤
ベルギーでは首都ブリュッセルに住んでいましたが、ドイツではハノーバーという中堅地方都市に住みました。(2003年2月から2005年1月まで)
町に廃工場を利用した屋内カート場があり、週に1回夕方にモタードバイクが走れる枠が設けられていました。回りこんだコーナーの多い、3速に数秒間入るだけの低速レイアウトでしたが、月1くらいの頻度で楽しく走っていました。
(ライダーは私ではありません)
スーパーモタードレースの大きな転換点
今振り返ってみると、世界選手権が定着したこの時期がスーパーモタードのレースにとっての大きな転換点で、その進化を中で一緒に過ごせたことは素晴らしい経験でした。
レースでの撮影回数も増えて慣れてきたのに加え、雑誌への寄稿で得た収入で徐々に機材をレース撮影に適したものにアップグレードして、見栄えのする写真が撮れるようになってきたことも楽しくて仕方がありませんでした。
選手権以外のイベントレース
世界選手権やヨーロッパ選手権以外に、単発のイベントレースにも行きました。ヨーロッパで一番有名なモタードのイベントレースとして、メテ・スーパーバイカーズというのがあります。これには、遠くアメリカからケビン・シュワンツが出場していたこともありました。
インドアのレースにも行きました。一番有名なのはパリで開催されるギドンドールですが、その他にウィーンで開催されたレースもありました。こういう時は、合間に少し観光するのも楽しみでした。
ファクトリーマシン試乗会
世界選手権最終戦翌日、各社のファクトリーマシン試乗会に参加させてもらったこともありました。遠目にはモトクロスバイクに17インチタイヤを履かせてよく似た外観ですが、エンジン特性やハンドリングは各車独特で、とても乗りやすいものから恐ろしくてまともに走らせられないのまで様々でした。舗装路ならどんなバイクでもそれなりに乗れるだろう、と根拠もなく思っていた自信が木っ端みじんになりました。
レース以外のことも少しご紹介します。
BMW R1100RS
ドイツでのハスクバーナのナンバープレート取得に思いの外苦労し、公道で乗れる見通しが立たない中、バイクシーズンを迎えたので、せっかくドイツに住んでるならとBMWのR1100RSを中古で購入しました。
ただ、レースの取材となるとカメラ機材一式や着替えでかなりの荷物になり、バニヤケースまでは購入しなかったため、バイクでレースを観に行ったのは1回か2回でした。
ドイツの運転マナー
首都と違って直行便が少なく、どこに行くにもハブ空港経由になり時間がかかるので、レース取材は陸路で行くことが増えました。まだ速度無制限区間が沢山ある時代で、週末の早朝などはドイツ国内移動の平均速度が稼げるのも理由の一つでした。
当時乗っていたのはアウディA4の1.9Lディーゼルでしたが、床の鉄板がへこむくらい踏み込むとメーター読み200km/hオーバー、そのままパトカー抜いても追いかけてきません。
ドイツの運転マナーはとてもいい、と雑誌などでは書いてありますが、慣れるまで怖かったのが彼らの高速道路での運転マナー、自分の感覚では自己本位で危険極まりない。制限速度なし区間だと時には250km/hとかで走ってる車もいます。普通の速度で走っている車はあまり後ろは気にせず、自分が抜きたいときに追い越し車線に出てきます。追い越し車線が空いてるから、とハイスピードのまま接近すると突然出てきて急減速させられることがあるのです。路面がウェットだったり曲がってたりすると、結構緊迫します。
R1100RSだと多分がんばればA4より最高速は速かったはずですが、高速巡行とするとバイクより乗り手が疲れてしまい、また日本と違って(?)渋滞時のすり抜けはNGで、移動の手段としては4輪の方が疲れが少なく所要時間が短く荷物もいくらでも積める、となり、バイクは移動ではなく楽しむための乗りものでした。
ドイツの車検証
豆知識ですが、ドイツの車検証には車もバイクも最高速度が記載されています。ドイツ車の国内向けカタログにも最高速度が記載されてたりするのはそのせいかも知れません。
(■が最高速度)
そして、記載されている最高速度が150km/hを超えるものはタイヤのパンク修理が禁止されていました。詰めものが遠心力で飛ぶと危ないからだそうで、パンクしたら高くつきます。
もう一つタイヤで面白かったのは、冬はスタッドレスタイヤに履き替えるのですが、夏タイヤより低い冬タイヤの速度レンジを超えて走ると違反です。そこで冬タイヤに換装時にそのタイヤの許容最高速の数字が書かれたステッカーをハンドルの真ん中にペタっと貼られるのです。物理的なリミッターではないので超えることはできますが。
そんなこんなでヨーロッパに住んだ4年半、よく働きよく遊べで、とても充実したバイクライフを過ごすことができました。
2003 FIM Supermoto World Championship
Rd. 1 | 4/13 | Marseille | マルセイユ | フランス |
Rd. 2 | 5/11 | Heraklion | イラクリオン | ギリシャ |
Rd. 3 | 6/29 | Spa | スパ | ベルギー |
Rd. 4 | 7/13 | Monza | モンツア | イタリア |
Rd. 5 | 7/27 | Sosnova | ソスノヴァー | チェコ |
Rd. 6 | 9/ 7 | Bucharest | ブカレスト | ルーマニア |
Rd. 7 | 9/14 | Melk | メルク | オーストリア |
Rd. 8 | 9/21 | Sachsenring | ザクセンリンク | ドイツ |
Rd. 9 | 10/ 5 | Toulouse | トゥールーズ | フランス |
Rd.10 | 10/26 | Lydd | リド | 英国 |
Rd.11 | 11/9 | Pergusa | ペルグーサ | イタリア |
Rd.12 | 11/16 | Spa | スパ | ベルギー |
Rd.13 | 11/30 | Frestrat | フィネストラット | スペイン |
2004 FIM Supermoto World Championship
Rd.1 | 6/20 | ベルギー | ||
Rd.2 | 7/25 | Arad | アラド | ルーマニア |
Rd.3 | 8/22 | Sosnova | ソスノヴァー | チェコ |
Rd.4 | 9/ 5 | Sachsenring | ザクセンリンク | ドイツ |
Rd.5 | 10/10 | Ottobiano | オットビアーノ | イタリア |
Rd.6 | 10/17 | ベルギー | ||
Rd.7 | 10/31 | Athens | アテネ | ギリシャ |
Rd.8 | 11/21 | Latina | ラティーナ | イタリア |
Rd.9 | 11/28 | スペイン |
この頃寄稿した雑誌記事
③スーパーモタードナウ: Vol.3=2004年8月10日発行
④スーパーモタードナウ: Vol.4=2004年11月10日発行