毎度のE藤氏のレポートです。群馬県みどり市桐生ボートレース場で開催。「隠しきれない族っぽさ」に辟易したE藤氏、一度は「レポートはボツにしよう」と決めたのですが、清濁併せ持つのがバイクの魅力、と思い直した次第。それっぽくない車両に厳選してのレポートをお送りいたします!
HONDA CB750Four
カクカクした(足つき性の悪い)サイドカバーとシート後端が尖っているのがK0の見た目の特徴です。
こちらは足つき性を改善したサイドカバーを持つK1以降です。
定番CRではなく、ソレックスキャブというのにオーナーの強いこだわりを感じます。レアなメルバー製キャストホイールにも注目です。
HONDA CB750Four & CB400Four
HONDA CB400Four
HONDA CB1100R
これだけオリジナルを維持しながら、変なミラーと変なマフラーが残念!
HONDA CB750F INTEGRA
高いオリジナル性を保つインテグラ。珍しい。
KAWASAKI 750SS
5本スポーク・・・ハヤシのキャストホイールでしょうか。メルバー、レスター、ハヤシ、BEET・・・この辺の当時の二線級キャストホイールについて、まとめたら面白いかも?
ここで、黎明期のアフターマーケット向けキャストホイールを取り急ぎご紹介。(自分で振ったネタの伏線を自分で回収いたします)
USの一線級は「モーリス」(Morris)でしょうか。他に、「レスター」(Lester)、「シェルビー・ダウド」(Shelby-Dowd)、「キム・タブ」(Kim-Tab)などがあります。
モーリスケニー・ロバーツの推薦でYZR500のワークスマシンに履かされていたことで日本でも有名なメーカーです。カワサキのGPチームも使用していました。 当時の国産の同等品がだいたい6万円しない中、日本では13万6千円の値付けでした。広告の上の方では「Aluminum Street Wheels」とデカデカとアルミであることを掲げながら、下の方では「Stock Custom or Cafe Racer, there is a Morris Mag for you.」とマグホイールであると言っています(笑) レスターレースイメージはあまり無いのですが、海外の雑誌などに載っている当時のカスタムマシンに、やたら履かされているのが見受けられます。 シェルビー・ダウドシェルビー・ダウドは、あのコブラのキャロル・シェルビーが関係する会社です。シェルビー・マスタングに履かされたシェルビー・マグホイールは有名ですが、2輪用も造っていました。代表作は下の「デイトナ」です。 キム・タブ「スノーフレーク」の名称で知られています。 英国は「ダイマグ」(Dymag)が一線級で、他に「シャンブレー」(Cambray)、出回ったものではありませんが面白いところで「ピーター・ウイリアムズ」(Peter Williams)を挙げておきます。 シャンブレー英国らしい地味な感じです。 ピーター・ウイリアムズ英国人GPレーサー、ピーター・ウイリアムズは、エンジニアとしての顔も持ち、モノコックフレームで有名なノートン 750 JPSの設計者兼ライダーだったことでも知られていますが、レーサー引退後、キャストホイールやディスクブレーキの開発、生産に携わっています。 彼のホイールがこれです。初見では、ダイマグに5本スポークってあったの?と訝しがることがあってもおかしくないでしょう。私もそう思いました。 イタリアでは、王道の「カンパニョーロ」(campagnolo)以外では、「メルバー」(Melber)、「EPM」、「ベルズ」(BELS)など。(中空スポークで名を馳せる「マービック」はまだ存在していなかったはず) メルバーEPMカンパの5本スポーク、モーリスの7本スポークに対し、6本スポークなのがEPMです。アルチューロ・マーニの会社だったはずです。 ベルズキム・タブの「スノーフレーク」に似ているのですが(スポーク数がベルズの方が1本多い)、どちらが先に世に出たのでしょう? 日本では主にUSのトレンドを追って、あまたのメーカーがキャストホイール生産に乗り出し始めました。”あの”「デイトナ」、「BEET」(日本キャスト工業)、「ハヤシレーシング」あたりが主流だったといえましょう。 デイトナ「セブンスター」はシェルビーの「デイトナ」(6本スポーク)の7本スポーク版・・・率直に言って、コピーでしょう。 BEETBEETはレスターのスポーク数を一本減らし、6本にしたコピーですね。(後にビモータ・ジャパンとなる奈良のオートショップ・フクイが関わっていました) BEETは他にもダイマグ3本スポーク、カンパニョーロ5本スポークといった有名どころも、まんまコピーしていました。(下の2本はダイマグとカンパではなく、BEET製です(笑)) ハヤシレーシングハヤシは、BEETよりさらに1本多く減らし、5本スポークでレスターをコピーしたものでしょう。 SP忠男「フェレックス」の名称で売られていました。率直に言って、上記3社の製品と肩を並べるほどメジャーなものではありませんでしたが、そのデザインは安直なコピーでないことを評価したいと思います。 定番のZ750用、CB750K用のほか、 中型クラスを吹っ飛ばして、原付のGT/GR用が用意されていました。 上で、アフターマーケット向け国産キャストホイールを、海外製品のコピーだ、コピーだ、とこき下ろしましたが、実のところ大資本のオートバイメーカーの純正ホイールも、なかなかどうして・・・と言ったところでありました。 カワサキ純正USでフェイク・モーリスと呼ばれていました。スポーク数も一緒。エンケイ製と聞いています。 ヤマハ純正ヤマハ初のキャストホイールは、スポークの数までレスターと同じでした。ずいぶんと長い期間、いろいろな車種に使用されていましたが、レスターを知らない人は、「大八車」とデザインのダサさを揶揄することが多かった印象です。 スズキ純正スズキ初の純正キャストホイールと、キム・タブの「スノーフレーク」との類似性を指摘する人がいますが、私はそうは思いません。むしろ、SP忠男の「フェレックス」と同じデザイン・コンセプト(Yの字が5本)だと、今回気づかされました。 BMW純正スズキよりはるかに「スノーフレーク」(あるいはベルズ)に似ているのが、BMW初の純正キャストホイールです。ただしスポーク数ははるかに多いです。(キムタブ:5本、ベルズ:6本、BMW:9本) |
KAWASAKI 250SS
KAWASAKI KH400
チャンバー効果の考案者、MZのウォルター・カーデン、真っ青の集合チャンバー。時代です。
とはいえ、集合チャンバーは決して日本のパーツメーカーだけの「黒歴史」ではなく、世界的に存在していました。(上のKHのも海外製っぽいですね)
Kawasaki KH250
YOSHIMURA KAWASAKI Z1
当時のレーサーのレプリカでしょうか。
KAWASAKI Z1
KAWASAKI Z1R
KAWASAKI KZ900LTD
一連のLTDは、ネブラスカ州リンカーン工場で現地生産されました。今では当たり前となった日本メーカーの「現地生産」の走りといえましょう。さらにリリースは1976年で、なんとハーレーの初代ローライダーの1977年より1年早いのです!「ファクトリーカスタム」の発祥はカワサキだったのです!
プルバックハンドルとか、リア16インチとか、キング&クイーンシートとか、昔ダサく感じられた個所が、今見ると味わい深い。ジャーディン製の爆音マフラーを純正採用している点も見過ごせません。
さらに、LTDはモーリスのマグホイールを奢られています!後のカワサキ純正ホイールとデザインが全く一緒なので分かりにくいのですが。1976年のラインアップを見てください。まだ、すべてのモデルがスポークホイールだった時代でした。
Kawasaki KZ1000FX
Kawasaki Z400FX
Kawasaki GPz550
GPzというとユニトラック・サスを連想しますが、81年モデルはビキニカウル+2本サスで、1100同様、GPzを名乗っていました。(FX風丸ライトはノンオリジナル)
Meguro Z7
1959ないし1960年製。500cc単気筒。
KAWASAKI 650 W1S
左足ブレーキです。
KAWASAKI 650RS W3
フロントダブルディスクの最終型。
1986 YOSHIMURA SUZUKI GSXR750
SUZUKI GT380
この時代の旧車って、子供の時には余りにも大きく感じられたものですが、今見るとむしろ小さ目な印象に不思議な気持ちになります。ただ、GT380だけは当時の思い出も今の印象も大きいままですね。
SUZUKI GT750
ZとCB一辺倒の日本の旧車界では、GT750なんかにこだわっている人は、よっぽどの変わり者といったところなのでしょうが、海外ではそれなりに人気があります。
スズキとしては「水冷」の先進性を前面に押し出したかったようで、目立つシリンダーサイドは水冷を強調するような、のっぺりとしたデザインにしています。(まさにあだ名の通り、「ヤカン」です)一方、それ以外の箇所には、空冷エンジンもかくやと思われるほどに冷却フィンがびっしりと張り巡らされています。現在なら、フィンの扱いは逆となってもおかしくないでしょう。
ここで、あまり扱われることの無いGT750の周辺について語りを入れてみたいと思います。
SUZUKI RG250E
末尾のEは、GS400とGS400Eの関係と同様、キャストホイール仕様を意味します。
RG250にEが付いたのは1978年ですが、この頃のジュニアスポーツ自転車では、トラック野郎やらスーパーカーやらのブームの影響をモロに受け、フラッシャー・テールランプ(「乾電池」で光る!)、リトラクタブルヘッドライト、MTフロアシフト風ギアチェンジレバー、ディスクブレーキ・・・といったギミックを各社で競い合っていました。
そんな中、スズキがやってくれました。オートバイで急速に普及が進むアルミ・キャストホイールを自転車にも持ち込みます。長らくスズキの顔となった星型デザインがまぶしい!この自転車、今でも持っていたら、ちょっとした「お宝」ではないかと思います。
ただ、自転車にキャストホイールの装着はスズキが初めてではありません。USではBMXにマグホイールを履かせるのが当たり前の時代がありました。なんと、天下のモーリスとレスターが、そろってBMX用のマグホイールを出していたんですよ!(BMXにおけるマグ製キャストホイールは、まもなくナイロン製キャストホイールに取って代わられ、主流はまたスポークホイールに戻っています)
SUZUKI RG400/500Γ
SUZUKI RG250Γ
YAMAHA XS650
YAMAHA RD400
キャストホイールが装備された最終型。
YAMAHA RZ250/350
BMW K1
モダンなK1も1989年デビューなので、もう26年モノなんですね。間違いなく旧車です。
モーリスを検索していて伺いました。キャストホイール・GT系、勉強になりました。ありがとうございました。